平成21年11月13日金曜日

紙一重、身に沁みる

インド出発前最後の舞踏のお稽古。早めに行って一雄先生に挨拶した。またインドに行ってきます。その間もお元気でいてください、と。

紙一重の隙間を踊った。奈良のある観音様の写真を見せられ、その観音様は胸の前で合わせた手のひらの間に隙間がある。その隙間を手のひらや、脇の下や、太ももの間に作った。するとそこに繊細さが生まれる。触れていて触れていないような手、歌舞伎の女形のように、足をそっとすり合わせるような歩き方。優雅さと柔らかさの練習。

綿を裂く。綿を裂くとき、最初は力がいるけれど、引っ張るうちにふわっと力はいらなくなる。力が入ると体は固く、力が入っていないと体は柔らかい。それに応じて目も変わる。固さと柔らかさの表現。私たちは既にこの体の中にすべてを持っている。

先生がこの日横浜で、秋田のお祭り、なまはげのお面をかぶった10人くらいの集団に遭遇したとのこと。お稽古場にあるお面で鬼ごっこ。みんな内なる子供にかえる。

身に沁みる、という表現を日本語ではする。身に沁みる、ということをバケツの中の水にゆっくり手を入れてその温度や質感を感じることで体験した。あぁ、水だぁ、という実感。感情も音楽も染み込ませて踊ること。

バケツの水を運ぶ。時に感じる人生の重さを感じながら、重いバケツを持ってゆっくり歩く。そして体にその重みを覚えさせれば、バケツを運ばなくても重さを表現できるようになる。

糸通し。針と糸が手渡され、針に糸を通しながら歩く。人生でもこういうもどかしさ、難しさを経験することはある。それでもまっすぐ前を見つめて歩くこと。

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