平成24年2月3日金曜日

Varanasi, Ganga ある日の帰り道

今日、日暮れのガンガ沿いを歩いて帰った。

昼間は、今回初めてグルジの家を訪ねた。まだ風邪で声は出ない。レッスンは来週から。
昨日Ganges View Hotelで演奏したBahauddinさんも来て、ランチをいただく。楽しい時間を過ごす。

そのあとBengali Tolaへ行くことに。リクシャーに乗って、イヤホンで古典音楽を聴きながら、砂埃の雑踏の中を進む。混雑しすぎてて進むことすらできない。道路が満員電車のよう。苦笑するしかないようなクラクションの嵐。。。
無限の静寂から湧き出たような音を聴きながら、外側とのギャップに、どっちもインド、同じ国、、、ある種の感銘を覚える。

知りあいの楽器屋さんや服屋さんでチャイとおしゃべり。でも日が暮れてきて寒くなってきたので、風邪をこじらせまいと長居はせず。

ガンガ沿いを多少の寒気を感じながら歩く。体調から、ちょっとエネルギーが落ちているのを感じる。気持ちもなんだか沈んできたような。。

夜のアルティの時間帯。Kedarガートのアルティを通り過ぎ、Harischandraガート、火葬場へ。
ふと斜め上を見ると、ひとりのAghori、黒服のサドゥと目が合った。私は、心の中で、彼に挨拶するようにOm Namah Shivayaと言った。なぜだかわからないけど、出てきた。そしてマントラは心の中で繰り返された。すると、音が空間に浸透し、空間の見え方が微妙に変わった。空間が歪むというのではないけれど、3D眼鏡をかけたように、何か質が変わった。同時に、目の前の子供も犬も、全てがShivaだと感じた。
Shivaの街、Kashi。こういうことを感じやすくなるんだろう。
空間の変化はすぐに終わった。そのガートを過ぎるころには。

暗く人のあまりいないガートへさしかかった。地味な普段着の初老の男性が6人、円になって座っている。一人が歌っている。胸の前にやわらかく手を合わせ、グルや、様々な神の賛歌を、切ないメロディにのせて。
思わず立ち止まり、聴いていたくなった。邪魔したくない気分で少し離れたところに座って、しばらく聴いていた。
あまりに真摯で、神聖で、美しくて、涙が出てきた。

メロディが変わったところで立ち上がり、川のほうへ下って行った。川岸で、ひとりのサドゥが静かに瞑想していた。上のほうからはおじいさんの歌声が聞こえる。遠くのほうからはアルティの音。

川を眺めて、さらに涙はこぼれる。苦しみとか悲しみとかを受け入れる類いの感情が湧いて。
そのあと、至福に変わった。

深い平和がその一帯にあって、私の足はそこをいつまでも離れたがらなかった。でもこれにも執着せずか、と歩を進める。
幸せな気分はそのあとも続いた。

Assiに着くと、いつものごとく路上で知りあいに遭遇。ちょっとおしゃべり、チャイにさそわれて、もう今日はさっき2杯飲んだからいい、と言ったら、僕なんて20杯飲んだよ、久しぶりに会ったんだから!と言われ、チャイ。
チャイ屋さんにあった年期のはいったカーリー像を、最初何の神様だろうと思って、まじまじと見つめてた。そしたら、向かいに座ってたちっちゃなおじいちゃんが、きらきらした目で興奮したように「First! God!!!(まず、神様!)」と大声で言って、私の目の前まできて、大声で意味の聞き取れないことをいくつか言ったあと、「I'm 75 years old!」と言い、去って行った。私がお店をでるとき、歯の無いビッグスマイルをくれた。私はとても幸せな気分で、彼の言葉「First! God!」を繰り返すと、きっと耳が遠くてきこえなかったんだろう、無反応で変わらぬ笑顔だった。

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